前回、Maas(マース)について取り上げましたが、今回もMaaSに絡んだ話題です。
既存サービス会社との衝突も多い
アメリカ・カナダでユーザーを伸ばしているトゥロやゲットアランドという「カーシェアリング」サービスを展開している企業があります。日本でもカーシェアリングサービスが都市部を中心に普及してきましたが、これらの企業は日本とは少し異なり、C to Cのサービスになります。
車をシェアするのは個人間になるのです。
Aさんは、自動車を保有しているんだけど、普段あまり使わない…だからトゥロなどに登録をしてAさんが使わない時間、ユーザー登録をしているBさんがその自動車を使う、といった感じです。 自動車を使いたいBさんからすれば、レンタカーと大きな差異はないサービスです。
しかし、レンタカー会社より半額〜40%程度の価格で借りることができ、しかも高級車などの登録もあって手軽に利用できるため、単純な移動手段というよりも、シチュエーションに応じた-デートやレジャー-思い出づくりにも使えるサービスという側面もあり、人気を博しています。
州や市が提訴する事態にも
一方、これらのサービスに異を唱えているのが、レンタカー会社や行政です。 レンタカー会社は、「車の所有者が誰であっても提供されるサービスの内容が同じなら規則に従うべきだ」という立場です。 規則とは、「営業をするためのフィーや各州で定められている税金の要件を満たす」ことです。空港や市内などで店舗を構える場合、レンタカー会社は州や市に営業認可の費用を払い、保有している自動車からの収益に対していわゆる消費税を払っています。 つまり、カーシェアリング会社も同じ条件で金を払え、ということですね。アラスカ州やサンフランシスコ市は、既にトゥロ社に対して訴訟を起こしています。 トゥロは、これに対し反訴を提起しています。 彼らの主張は「我々のビジネスはプラットフォームだ。ビジネスの仕方が違う」というものです。 確かに、誰かの持っている自動車を誰かが使用することで売上が立つ、という意味においてはレンタカーに似ていますが、お金のやり取りやサービスの提供の仕方は全く違います。
例えば、日本でもメルカリを通じてモノの個人間売買を行っていますが、メルカリ自身が何かを売っているわけではありません。メルカリでは洋服の売買も多いですが、古着を仕入れて販売している古着屋さんが「メルカリも我々と同じルールに従え」と要求するのは少し無理がある気がしますよね。
アメリカで訴訟にまでなっているのは、要は「これまでの枠組みでお金を取れないから」です。そしてレンタカー会社は、自分たちだけ営業フィーなどを行政に払わされていながら、払っていないUBERなどに顧客を奪われているからです。どちらの言い分が正しい、というよりもルールが新しいビジネスに追いついていないということだと思います。 ですから、これは世界中どこでも起こりうる話ですね。
前回取り上げた、Go-Jekもインドネシアでは伝統的なバジャイやタクシーからの反発も多く、運輸大臣がGo-Jekが違法だとしてサービスを禁止しようとしましたが、大統領がそれを止めさせる、といった騒動がありました。大統領は「国民がサービスを必要としている」と言い、運輸大臣はサービス禁止の決定を取り下げたようです。ここにも「法律の解釈をどうするか?」という問題があります。
余談ですが、東南アジアのタクシーはみんなボッタクろうとしますから、外国人が増えれば増えるほどGo-JekやGrabのようなサービスが普及すると思います。嫌な思いはしたくないですもんね。
こちらの記事もご覧ください。
[card2 id=”1895″]
Maasのような新しいサービスのあり方をビジネスとして展開していくと、既存の枠組みでは規制できないことが増えてくるのは仕方がありません。しかし、お客様のニードがそこにあって、しかもユーザーが増えていっている現状を考えると、法律や自己利益のために行政側が動いても良い結果にはならないように思います。もちろん、ルールを時代に合わせて可変させて行くことも大事なんですけどね。日本の行政が一番苦手なことかも…。