保険代理店の次世代オフィス(シンガポール)

日本においても、生命保険や損害保険会社の在り方・販売方法や販売チャネルなどが、ここ数年で大きく変化をしてきました。

海外においてもそれは同様で、高い経済力を誇るシンガポールでも新しい取り組みがなされています。今回は、海外でこれまでにない新しいオフィス展開をしている会社をご紹介します。

目次

シンガポールの保険代理店が展開する次世代オフィス

まずはこの動画をご覧ください。

これは、AIAシンガポールの公認代理店「Qiren Organization」がオープンした、子供のための図書館、屋内の遊び場、カフェ、顧客の無料利用のためのラウンジなどを併設する”次世代機関オフィス”です。

いわゆる保険を販売するオフィスのイメージとはずいぶん異なると思います。

このオフィスコンセプトは、従来の受動的な保険モデルを超えて顧客との長期的な関係を構築することに重点を置いています。
つまり保険は、事故やアクシデントが起こって初めて保険会社や担当社員に連絡が来て対応するという「受動的なサービス」事業 なのですが、そうではなく、アクシデントが起きる前から様々な形でお客様と接点を持っていこうという活動の一環なんですね。

このオフィスでは、例えば、誕生日パーティーや無料の健康診断、子どもの学習のための授業、フィットネス活動といった顧客利用を念頭に設計されています。

AIAグループのNg Keng Hooi CEOは、「これは次世代のエージェンシー・オフィスである。私たちがしようとしているのは、これを他の国のオフィスのモデルとして使用することです。多くの革新的なアイデアがこの場所をまとめることになりました。これは、良いオフィスがどのようにすべきかという点で見本になります。シンガポールだけでなく、どこにいてもAIAの新しい標準を確立しています。ビジネスをどのように進めることができるかという点でクリエイティブなアイデアとなるでしょう」と言っています。



AIAシンガポールのパトリック・テオ(Patrick Teow)CEOは、「このような事務所を開くには、信念が必要で、組織を次のレベルに引き上げることを信じなければならない。QOのリーダーシップのためには、多くの勇気が必要です。このような事務所を作ることは、成功を続ける勇気を持たなければならないことを意味します。私たち全員がAIAとQOのパートナーとして協力し合って、これらを推進し、次の成功に導き、組織全体を将来的に発展させていきます」

規制のため、保険会社からイノベーションは生まれない

日本でも、保険金や給付金のお支払い前に様々なサービスを提供するという動きは活発になっています。ですが、保険会社が守るべき「保険業法」では「他業」を禁止しているので、新しい事業を展開するのは非常に難しいんですね。金融庁の管下にあり、認可制ですから、イノベーションが生まれる土壌はないんです。



可能性があるとすると、シンガポールのQirenと同じようにいわゆる「保険代理店」の方が新しいビジネスモデルを作り出していくかもしれませんね。代理店は、金融機関としてのポジションを得ながら(金融庁のチェックを受けている)、別事業を行っている事業者も多いんです。直販と呼ばれる営業社員を抱える日本の保険会社が大多数ですが、海外のように販売会社が分かれていく「製販分離」が進めば、より良いサービスや新しい「在り方」が生まれてくるかもしれません。

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この記事を書いた人

場末のファイナンシャルプランナー。得意分野は、保険とローン・資産運用。自社では、食品卸・輸出・旅行手配も行ってます。猫と旅と音楽とガジェット類が好き。

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