傷病手当金や休業手当から社会保険料や税金は引かれるの?

新型コロナの影響で、会社が休業せざるを得ず、休業手当を受け取ることになったり、コロナウイルス感染症やインフルエンザ・その他の病気で長期の入院・療養のため、傷病手当金を受給することになってしまった場合、通常払っている社会保険料や税金の支払いはどうなるのでしょうか?

今回は、休業手当・傷病手当を受けている場合の社会保険料や税金の支払いについてまとめてみました。

目次

傷病手当金とは?

以前の記事で、傷病手当金について記載しましたが、改めて制度の内容についてまとめておきましょう。

傷病手当金は、健康保険組合の制度です。加入者が病気やケガのために働くことができず、会社からお給料がもらえない際に健康保険組合から所定の金額が支給されるというものです。

傷病手当金の金額

傷病手当金の金額は、標準報酬月額の2/3になります。傷病手当金は休んだ日数に応じて支払われますので、下記のような計算となります。

1日あたりの金額=直近1年の標準報酬月額の平均÷30日×2/3

かなりざっくりですが、大まかには月額給与の2/3(か少し少ない)ほどの金額になると覚えておくと良いでしょう。

傷病手当金を受けるための要件

業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること

業務上での自由の場合は、労災が適用となるため、傷病手当金の受給とはなりません。業務外の病気やケガによるもので、例えば、美容整形は病気とは民されないので対象外です。

仕事に就くことができないこと

労務不能と判断された場合に受給できます。

連続する3日を含む4日以上仕事に就けなかったとき

療養のため、4日以上働けなくなった時に支給対象となります。合計4日ではなく、連続3日間休んで4日目からが対象です。(この3日間を待機期間と言います。)

休んでいる間に給与の支払いがないこと

給与が支払われている間は、傷病手当金は支給されません。また、給与の支払いがあっても傷病手当金の額よりも少ない場合は、その差額は支給となります。

国民保険は対象外

この傷病手当金の制度は、健康保険組合の支給制度で、国民健康保険にはありませんので、個人事業主の方は残念ながら利用できません。

事業主の方は年金制度も厚いとはいえないので、ご自身でいろいろ準備・用意をしておく必要がありますね。

傷病手当金の支給期間

傷病手当金が支給される期間は、休んで4日目から最長1年6ヶ月です。

この1年6ヶ月間に仕事に復帰した期間があって、その後再び休みに入っても、復帰していた期間はカウントされますので、支給期間が後ろに伸びることはありません。

傷病手当金を受給していても社会保険料や税金はかかります

社会保険料は負担額変わらず

傷病手当金を受給している間でも、厚生年金保険料や健康保険料はかかります。これらの社会保険料は会社を休む前と同額になりますので、手取り収入はより減少してしまうことになります。

なぜなら、傷病手当金は月給の2/3程度になってしまっていますが、社会保険料はお給料をもらっていた時と同じ金額だからです。

税金も支払う必要あり

税金についても免除とはならず、傷病手当金受給中でも税金の支払いは必要です。傷病手当金は非課税ですので、1年間傷病手当のみの所得でしたら税金はかかりません。

ただし、住民税は前年度分を今年度に支払うことになっていますので、その支払いは必要です。

また、1年以内に休職があけて給与を受け取るようになったり、他の所得(株などの証券取引・不動産収入など)がありましたら、その分は所得税・住民税の対象となります。

傷病手当金を受給中に退職したら

傷病手当金を受給中に退職をした場合でも、引き続き支給を受け続けることができます。継続して支給を受けるための条件は下記の3点です。

  • 退職日までに1年以上、当該の健康保険組合に加入している
  • 退職までに傷病手当金を受けている、または受給条件を満たしている
  • 退職日に出勤しないこと(その日で資格喪失してしまう)

なお、退職後に傷病手当金を継続受給している場合は、失業給付を受けることはできませんのでご注意ください。(失業給付は、就労不能ですと受けられないからです。)

休業手当も社会保険料と税金がかかります

会社の都合で従業員に休業させた場合に、支払うものです。就業規則上の休日は支給対象外になります。

休業手当の額は、平均賃金額の60%以上と決まっています。

休業手当は「賃金」ですので、通常の賃金と同様、雇用保険料や社会保険料、また税金もかかります。

最後に

傷病手当金も休業手当も、社会保険料・税金の対象となります。

どちらもお給料をもらっていた時と同額の負担ですので、ただでさえ手取りも減ってしまいます。

一方、収入が減ってしまっても、住宅費や光熱費・教育費など変わらず支払いが必要なものもあります。

こうした時に、民間の医療保険や就業不能保険といった商品が役に立ちます。

保険に加入するにしても保険料というコストがかかりますので、傷病手当金などを計算した上で、適正な保険金・給付金を試算し、無駄な保険料を支払わないようにプランニングしましょう。

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この記事を書いた人

場末のファイナンシャルプランナー。得意分野は、保険とローン・資産運用。自社では、食品卸・輸出・旅行手配も行ってます。猫と旅と音楽とガジェット類が好き。

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