12/8パリのデモを間近で体験しました。

今月の初めにフランスに行ってました。12/8にパリで大きなデモがありましたが、ちょうどそこに居合わせまして、フランスの現状に興味を持ちましたので、マクロン大統領になってからのフランスの政治・経済についてまとめてみました。
そもそも「黄色いベスト運動」と言われる今回のデモ活動はどのような内容なのでしょうか?

黄色いベスト(ジレ・ジョーヌ)運動とは?

黄色いベスト(←ジレ・ジョーヌと言います)とは、フランスのドライバーが車の故障の際、安全のために着用を義務づけられている蛍光色のベストのことです。
このベストを来て抗議をする運動は元々は「燃料税引き上げの中止」を要求するものです。そこからマクロン大統領に対する幅広い抗議運動へと拡大し、退陣要求なども含んだデモ活動などがフランス各地で行われています。

 

イタリアン通りのデモの人たち

 

マクロン大統領の政策とは?

マクロン氏の政策は、企業向き・都市向きと言われています。就任当初から財政赤字削減のために、痛みを伴う改革をするとして、実際に下記のような政策の断行を行ってきました。

  • 労働法改正
  • 住宅手当見直し
  • 年金改革
  • 公務員給与増額の凍結
  • 連帯富裕税の改革

この富裕税の改革などから、マクロン大統領は「金持ちの味方」とみなしている人も多いようです。

フランスの富裕税とは?

フランスでは、富裕層が国外に出て行ってしまうことが多いことから、その原因の一つになっていた、いわゆる「富裕税」を廃止しました。

富裕税は、資産額が130万€を超える場合に対象となり、累進課税で0.5~1.5%の税金が課せられます。これは収入等のフローではなく、既に持っている資産(ストック)に掛けられるものです。フランス語では、ISF (l’impôt de solidarité sur la fortune)と言います。

マクロン大統領はお金持ちの味方?

マクロン大統領は、この富裕税を廃止しました。一番の目的は富裕層による「国内投資」を呼び込むことです。ただし保有している不動産に対しては、同じく130万€以上の資産に税金がかかります。

さらに、株式や債券等の金融商品から得られる利益(インカムゲイン)への課税が一律30%となりました。それまでは最高で60%もの税金がかけられていたので、大幅な減税です。

また、社会保障財源のための税金(CSGと言います)が、給与等の収入に対しては7.5%→9.2%に上がり、年金収入に対しては6.6%→8.3%へと上がりました。ですが、失業保険負担が廃止されるので、手取り所得としては下がることはないようです。(年金生活者は失業保険負担がないので、増税の影響を受けてしまいます)

フランス景気観測所によると、この税制改革によって貧困層・中流層でも収入が下がることはないようですが、富裕層が一番有利に働くということが、マクロンがお金持ちに優しい大統領と言われる所以のようです。

デモのきっかけは「燃料税」引き上げ

環境保全を目的として、2019年1月から燃料税(炭素税とも言います)を引き上げることが決まっていました。(引き上げ額は、軽油が1リットル当たり0.065ユーロ、ガソリンは0.029ユーロ)

燃料も高騰している中で、この増税と電気・ガス料金の値上げなどへの反対の声がきっかけとなり、デモが起こるようになりました。

特に自動車が生活に必須の、地方都市からこの抗議運動が大きくなっていったのが特徴です。

また、マクロン大統領の発言(失言)もマズかった、と思われます。
例えば「燃料が買えないなら電気自動車に乗ればいい」とか「(仕事につけない人に対して)私なら、モンパルナスの通りを渡れば、きっと君に仕事を見つけてあげられる」って言ったりして「人を見下している」「一般人の感覚と懸け離れている」と批判を浴びました。
この人は本当にエリートで、庶民の感覚がわからないのかもしれないですね。

 

ラ・ファイエット駅の近く

 

現地でデモと遭遇&報道を見て

確かに暴徒化して破壊活動を行っている人もいますが、それはごくごく一部です。デモが行われているすぐ側を子連れの家族が歩いているシーンも見ましたし、ほとんどのお店が閉まっている異様な雰囲気ではありましたが、そこまで危険を感じるものではありませんでした。
(もちろん実際に破壊活動を行っている場所は危ないと思います)

パリ市内のあちこちでベストを着た方が歩いていましたが、まっとうなデモ活動だと感じましたし、シャンゼリゼやオペラ座付近の一部が暴徒化して破壊行為を行ったと思われますが、この破壊行為をした人たちは「破壊専門」の人たちとも言われています。

つまり、デモに参加して抗議活動をするというよりも破壊・略奪が目的ということです。報道では繰り返しそのシーンばかりが流れますので、非常に危険なイメージになってしまいがちですが、実際に現地で見たきた一人として、若干違和感のある報道であることは間違いありません。もっと「デモ活動」そのものに焦点をあてるべきのように思います。

破壊行為は、パリよりもボルドーの方が激しかったのではないでしょうか?現地のテレビではボルドーもかなりクローズアップされてましたが、日本ではどうだったでしょうか?

 

今回のデモを受けて

政府は、2019年1月に予定していた電気・ガス料金の値上げ、軽油税とガソリン税の均一化措置を6カ月間凍結すると発表しました。また、最低賃金を1カ月あたり100ユーロ(約1万2900円)増額するようです。しかしながら、ジレ・ジョーヌ側は「凍結ではなく廃止」「問題の先送りに過ぎない」といった反発が多く出ていて、抗議運動は継続されています。

実際に燃料高騰や増税のために、日々の生活にダメージを受けている人もいると思いますし、政権は非常に難しい局面を迎えていますね。

ちなみにマクロン大統領の支持率は当然直後は65%ほどあったものの、今年の春の時点で40%まで下がり、今回のデモもあって、現在は25%まで落ち込んでいるもようです。

 

オペラ座近辺

 

まとめ

今回、現地で見て、話を聞いてきた内容を元にフランスの政策の動きと現状についてまとめてみました。フランスだけでなく、EU内ではドイツ・イギリスなどの大国が大きな問題を抱えていますし、これから大きく政治・経済に変化が起きそうな予感がします。

 

 

今回の記事の参考にしたもの

参考 <span>仏マクロン政権の現状評価と政策の方向性<上></span>日本経済団体連合会 参考 regardez en intégralité l'allocution d'Emmanuel Macronfranceinfo 参考 Weekly closing days of cultural sites in ParisPARiS 参考 政府、炭素税引き上げ凍結を発表Jetro