新型コロナウイルスの影響に対して、国が様々な支援を行っていますが、今回取り上げるのは、国民健康保険(国保)の保険料を免除・減額してくれる制度についてです。
収入が下がった人などに対して、国民健康保険料を安くしてくれたり、支払いを免除してくれます。
ここでは、減額・免除を受けるための条件や実際の計算事例などをご紹介致します。
実際のルールや条件などは、各自治体によって異なりますので、お住まいの地域の役所等で確認をお願いします。(今回の記事は、港区・品川区から発表されているものをベースに書いています)
条件に当てはまりそうな方がいらっしゃいましたら、ぜひ申請を検討してください。
国民健康保険料が減額・免除となるには
まず、どのような人が対象となるのかをチェックしていきましょう。次の3点を確認してください。3点全てを満たしている必要があります。
対象となる人① 国民健康保険に入っている
まず大前提として、当然ながら国民健康保険(国保)に加入している人が対象です。
会社員・公務員は、各会社の健康保険組合(健保)に加入していますから対象外です。
また、国民健康保険でも、業種によっては独自の国保があります。例えば、お医者さんであれば医師国保であったり、建設業界で働く方向けの建設国保などです。それぞれで基準がありますので、各保険組合にご確認ください。
ちなみに保険料を減額・免除することを「減免」と言います。各自治体のホームページなどには「減免」と書かれていますので、ご確認ください。
対象となる人② 死亡・重篤な傷病、減収した人
国保に加入してる人の中で、減額・免除を受けられる対象者は、新型コロナの影響で
・死亡、重篤な傷病の方
・収入が下がった方
のいずれかになります。
対象となる人③ 世帯で主な収入を得ている人
国保は世帯単位で加入しますが、死亡・重篤な病、減収は、家族の誰でも良いわけではなく、世帯の「主な生活維持者=主に収入を得ている人」になります。
まとめますと、減免を受ける条件は以下のようになります。
[box class=”box28″ title=”対象者まとめ”]国保に加入している世帯で、主な収入を得ている人が、
・死亡もしくは重篤な病に罹った
・収入が減った
場合が対象[/box]
では、それぞれの場合でどういった免除や減額の内容になるのかを見てみましょう。
死亡・重篤な傷病になってしまった場合
対象 | 新型コロナウイルス感染症により、世帯で主な収入を得ている人が、死亡・重篤な傷病を負った世帯 |
減免額 | 全額免除 |
世帯の主な収入を得ていた方が、不幸なことに亡くなってしまった方や重病に陥ってしまった場合は全額免除となります。
収入が減少した場合
対象 | 新型コロナウイルス感染症により、世帯で主な収入を得ている人の収入が減少してしまった世帯 |
収入の対象 | 事業収入・給与収入・不動産収入・山林収入 |
条件 |
下記3点の全てに該当する世帯 |
収入が減少した場合について、少し解説します。保険料が免除となるには、いくつかの条件があります。
減少した収入の種類
収入は、事業収入・給与収入・不動産収入・山林収入のいずれかとなっています。
30%以上の減収
事業収入・給与収入・不動産収入・山林収入のいずれかが、前年度に比べて30%以上減っている場合に対象となります。
前年の所得が1,000万円以下であること
前年の総所得が1,000万円以下であること、も条件となっています。
ここでいう所得は、世帯合計ではなく「主に収入を得ている人」の合計所得です。
また、所得ですので、事業所得者でしたら「事業収入-必要経費=所得金額」ですし、給与所得者でしたら、「給与収入-給与所得控除=所得金額」となります。
他の収入が400万円以下
事業収入・給与収入・不動産収入・山林収入以外の収入がある方は、その収入の前年度合計額が400万円以下であること、も条件となっています。
保険料のどのくらいが免除になるの?
では、どのくらいの金額が免除となるのかを見てみましょう。減額・免除割合は、前年度の合計所得金額によって決まっています。
前年の合計所得金額 | 減額・免除の割合 |
---|---|
300万円以下 | 全額免除 |
400万円以下 | 8割免除 |
550万円以下 | 6割免除 |
750万円以下 | 4割免除 |
1,000万円以下 | 2割免除 |
その他、事業を廃止したり、失業した場合は全額免除となります。
保険料免除の具体例
実際にどのくらいの保険料額が免除になるのかを、具体例でみてみましょう。
夫婦と子供2人の4人世帯・前年度総所得金額が401万円の家庭
国民健康保険の年間支払い保険料額は、50万円です。
夫(主たる生計維持者) | 給与収入 550万円 |
所得 346万円 |
+
妻 | 給与収入 120万円 |
所得 55万円 |
||
世帯合計 | 給与収入 620万円 |
所得 401万円 |
給与所得者ですので、給与所得控除を引いた金額が「所得」となります。
今年度の収入見込み:30%以上の減収見込み
夫(主たる生計維持者) | 給与収入 300万円 |
所得 192万円 |
免除額の計算方法
このご家庭の保険料がいくらになるのかを計算してみます。計算式は下記のとおりです。
年間支払い保険料額 × (前年度所得 / 世帯全員の合計所得金額 )= 減免対保険料額 |
減免対象保険料額 × 減免割合=免除となる金額 |
数字を当てはめてみると、
50万円× (346万円 ÷ 401万円)× 0.8 = 345,137円
となり、
34万5,137円が免除となりますので、実際の支払金額は15万4,863円となります。
年間50万円の支払いだったのが約15万円になるのは、非常に大きいですね。
保険料免除となる対象期間
令和2年2月1日~令和3年3月31日に納期限が設定されている保険料が対象です。
まとめ
一定の条件がありますが、それに当てはまれば、国民健康保険料が免除となる制度について解説してみました。
最後に、国民健康保険料が減免になる条件をまとめておくと、
[list class=”li-check li-mainbdr main-c-before”]
-
国民健康保険に加入している
-
世帯の主な収入を得ている人が、新型コロナで死亡・重病になった
-
新型コロナの影響で、世帯で主な収入を得ている人の収入が30%以上下がった
-
前年度所得が1,000万円以下
-
前年度の主な収入以外の所得が400万円以下[/list]
対象となる方は、ぜひ申請を検討してください。