海外旅行保険は必要?クレジットカード付帯で十分?

海外旅行保険の加入の仕方やポイントについて解説します。今回は、海外旅行保険の補償内容と実際の事故の実例から、加入は本当に必要か?を考察してみましょう。

目次

海外旅行保険とは

海外旅行中に被ったケガや病気による死亡・ 後遺障害・治療費用のほか、賠償責任、携行品損害などを補償する保険です。(保険会社によって商品名は様々ですが、「海外旅行保険」や「海外旅行傷害保険」という名称で販売されています。

海外旅行保険の補償内容

主な補償内容には以下のようなものがあります。

補償項目補償内容
傷害治療費用旅行中におけるケガの治療費用を補償
疾病治療費用旅行中における病気の治療費用を補償
傷害死亡旅行中のケガで死亡した場合を補償
疾病死亡旅行中の病気で死亡した場合を補償
賠償責任旅行中に他人にケガをさせたり他人の物を壊して法律上の賠償責任を負った場合を補償
携行品損害旅行中に「被保険者が所有かつ携行する身の回り品 」が盗難にあったり壊れた場合を補償
旅行変更費用被保険者や同行予定者等の死亡・入院・危篤、渡航先での地震・戦争・テロ行為などの発生のために出国を中止または海外旅行を途中で取り止めて帰国した場合の費用を補償
航空機寄託手荷物遅延費用手荷物の到着が遅れて身の回り品を購入した場合の費用を補償
航空機遅延費用航空機が遅れて宿泊代・食事代などを別途自己負担した場合の費用を補償

なぜ海外旅行保険が必要なの?

ほとんどの旅行者は、大きなトラブルやアクシデントなく帰国できていると思いますが、ケガや病気・スリなどの盗難に遭う可能性ももちろんあります。

そういった場合のために海外旅行保険があるのですが、そもそも海外旅行保険に入る必要があるのでしょうか?

発生件数等がそんなに多くないのであれば、わざわざ加入する必要はないかもしれません。実際にどの程度起きているのか?・・・ジェイアイ傷害火災保険会社調べの統計データをご紹介します。

事故発生率:3.7%

2018年の事故発生率は3.70%で、27人に1人の割合です。
ちなみに2017年度は、3.42%(29人に1人)なので、およそ3~4%で推移しているものと思われます。

保障項目別事故発生割合

病気やけがの治療費用・医療搬送費用等を補償する項目が最も多く、約半数にものぼります。
また、携行品損害と旅行事故緊急費用(*1)も比較的高い割合で起きています。

こちらの数字は、保険金支払件数ベースです。

(*1) 旅行事故緊急費用とは、偶発的な事故発生で、予定外の宿泊をしたり移動したりといった場合のことを言います。上記表の数字には飛行機遅延・飛行機寄託手荷物遅延も含まれています。

地域別事故発生割合

渡航先によって補償項目ごとに発生割合が異なります。地域によって事故の状況が違いますので、その点も確認しておきましょう。

こちらの数字も、件数ベースになります。

治療費用は、どのエリアでも一番高い割合で行っていますが、ヨーロッパ・アフリカは携行品損害が大きく、北米・アジア・オセアニアは、治療費用が非常に高いですね。グアム・サイパンは、旅行事故緊急費用が圧倒的に高い割合となっています。

海外では、治療費用が超高額になってしまうことも

事故やアクシデントに遭遇してしまう確率は3~4%ですから全く遭わないというほど低い物でもありません。軽度なものでしたら、経済的なダメージはそこまでではないかもしれませんが、海外では非常に大きな損失を被ることもあります。

病気や怪我で大きな費用を請求されることもあり、この点が海外旅行保険に加入しておくべき一番の理由と言えるでしょう。

海外での高額医療費用事故例

国や地域別に高額な保険金支払いが発生したケースを挙げてみます。

高額医療費用事故トップ5

ジェイアイ海外旅行保険の加入者に対して、支払いがあったものの中の高額保険金支払いトップ5です。

国・地域内容年代支払保険金
ハワイホテルの部屋で意識を失い救急車で搬送。心筋梗塞と診断され19日間入院・手術。家族が駆けつける。看護師が付き添い医療搬送。 64歳以下3,052万円
ノルウェークルーズ船内で意識を失いヘリコプターで搬送。肺炎と診断され13日間入院。家族が駆けつける。医師・看護師が付き添いチャーター機で医療搬送。 64歳以下3,019万円
香港風邪の症状で受診。その数日後、全身の痛みのため救急車で搬送。敗血症性ショックと診断され19日間入院。家族が駆けつける。医師が付き添い医療搬送。 65歳以上2,617万円
ハワイ買い物中に気を失い救急車で搬送。心筋梗塞と診断され11日間入院・手術。家族が駆けつける。 64歳以下2,177万円
グアムカフェで倒れ救急車で搬送。心筋梗塞と診断され19日間入院・手術。家族が駆けつける。医師・看護師が付き添い医療搬送。 65歳以上2,096万円

高額医療費用事例

他にも下記のような支払い事例があります。日本国内ですと、同じ症例でもここまで費用はかからないと思いますので、やはり海外に行く際には保険に加入しておくことをお勧めします。

国・地域内容支払保険金
中国ホテルのドアにぶつかり転倒。
大腿骨頚部骨折・くも膜下出血と診断され、
36日間入院・手術。家族が駆けつける。
医師・看護師が付き添いチャーター機で
医療搬送。
1,736万円
韓国空港で人とぶつかり受診。大腿骨頚部骨折と
診断され9日間入院・手術。家族が駆けつける。
看護師が付き添い医療搬送。
447万円
アメリカカヤックで遊んでいたところ、波にのまれ
海底に頭をぶつけ救急車で搬送。脳震盪と診断。
550万円
アメリカ発熱のため受診。直腸周囲膿瘍と診断される。 321万円
ハワイワイキキビーチで段差に躓き転倒し受診。大腿骨
頚部骨折と診断され8日間入院・手術。家族が駆けつける。
864万円
イタリアホテルで転倒し受診。骨盤骨折と診断され11日間入院。
医師・看護師が付き添い医療搬送。
742万円
フランス腹痛を訴え救急車で搬送。腸閉塞と診断され11日間入院・
手術。家族が駆けつける
511万円

これらの保険金支払いは高額ですが、注意すべき点は、同じような金額支払いの例はたくさんありますので、これらが「特別高額な事例だけをピックアップしたわけではない」ということです。

出展:ジェイアイ傷害火災保険株式会社 トラブルデータ

クレジットカード付帯の保険で十分?

クレジットカードのサービスとして海外旅行保険が付帯されているものが多くあります。多くの方がお持ちなのは、

クレジットカードに付いている海外旅行保険で十分ではないか?

という疑問ではないでしょうか。

クレジットカードの海外旅行保険も上記記載のような基本的な補償はついています。ですから、これだけでも良い・十分ではないかと思う方も多いと思いますが、実は不足している部分もあるんです。

ですから、足りないところだけを補うように追加で加入するのが良いと思います。

次回の記事で、不足部分はどこか?加入ポイントは?具体的な加入方法は?を詳しく解説していきたいと思います。

まとめ

海外旅行保険の保障内容と実際の事故や保険金支払いの実例をみてみましたが、いかがでしたでしょうか?

今回の記事では、下記のような項目をまとめてみました。

[list class=”li-mainbdr strong”]

  • 海外旅行保険で補償される内容
  • どのくらいの頻度で事故が起きているか
  • 地域別の発生件数と傾向
  • どのくらいの保険金額が支払われているか(実例)[/list]

事故の発生率はそこまで高くないにしても、実際にかかる費用は高額になるケースも少なくありません。

海外旅行保険は数千円の保険料(掛け金)になることもありますが、ここはケチらずに加入しておいた方が良いと思います。

次回は、海外旅行保険に加入する際のポイントを書きたいと思います。

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この記事を書いた人

場末のファイナンシャルプランナー。得意分野は、保険とローン・資産運用。自社では、食品卸・輸出・旅行手配も行ってます。猫と旅と音楽とガジェット類が好き。

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