セブンイレブンが三井住友海上あんしん生命の「ガン保険」の取り扱いを開始します、というニュースがありました。
コンビニで生命保険を販売するというのは初めてとのこと。
今回は、このコンビニでの保険販売・契約手続き方法・加入メリット等について解説します。
コンビニで初めてガン保険を販売
株式会社セブン-イレブン・ジャパンが2020年6月16日より、全国のセブン‐イレブン店舗に設置されている「マルチコピー機」を通じて、三井住友海上あいおい生命保険株式会社の「ガン保険」の発売を開始します。
当該企業の発表には、
「昨今、お客さまのライフスタイルも多様化し、生命保険についても、時間を選ばず、手軽に、自分自身で手続きをしたいというニーズが高まっています。こうした中、「ガン保険」への加入を検討しているお客さまに対して、いつでも好きな時に、手軽に加入できるよう、「近くて便利」なセブン‐イレブンを通じて「ガン保険」の取扱いを開始することとしました。
ゼブンイレブン ニュースリリース より
今後は「新しい生活様式」への変化が求められる中、セブン‐イレブンのマルチコピー機を通じた手続きは「ニューノーマル(新常態)」にも対応する保険加入の一つになるものと考えます。
とありました。
生命保険は今も「対面販売」が主流
プレスリリースにあるように「時間を選ばず、手軽に自分自身で手続きをしたい」というニーズは確かに高まっていると思います。
(このサイトもそのような方に少しでもお役に立てればと思い、記事にしています!)
生命保険の場合、現状では保険営業の方との「対面販売」が主流です。保障の組み立て方や設計方法がわからない人は、プロに聞きながら進めていくしかないからです。
ですが、シンプルなタイプの保険 – 死んだら〇〇万円・入院したら〇〇円 – のような商品はネットでも加入できるものが増えています。保障内容もシンプルでわかりやすく、手続きも簡単なので、家でもどこでも申し込めるので便利です。
セブンイレブンでの保険申し込み手続き
では、今回のセブンイレブンでのガン保険販売の手続きはどうでしょうか?
残念がら、今回のセブンイレブンでの販売は”コンビニでの販売”という目新しさ以外に特筆すべき点はないです。
というのも、申し込みの流れが
- ネットで予め申し込み内容を入力し、店舗のマルチコピー機で払込票を打ち出してレジで1回目の保険料を支払う
- 直接店舗へ行き、マルチコピー機で申し込み内容を入力して、払込票を持ってレジで1回目の保険料を支払う
という、対面営業ではないけど、結局は店舗に行ってレジでお金を支払う、という中途半端な感じの簡便さにとどまっているからです。
これだったら、ライフネットやアクサダイレクトのようにネットだけで完結する生命保険の方が楽じゃない?とも思います。
急に思い立って加入するものでもない
ガン保険は、急に思い立って、「そういえば加入しておかなくちゃ」という商品ではありません。
既にセブンイレブンでは、自賠責保険・自転車保険・1DAY自動車保険・1DAYレジャー保険という損害保険商品の販売を行っていますが、これらは、急いで手続きしておく必要が出てくる商品でもあります。
ガン保険はそうではありません。
自身の社会保険がどんな内容か?不足している部分があるか?それに合わせてガンになった場合のリスクを検討して、初めて商品選びに入ります。
もちろんそこまで考えずに、気軽に加入してもいいんですけど、いざガンになったら保障が少なすぎた・そこまで必要じゃなかった、みたいな無駄な加入となってしまうケースもあることは覚えておいてください。
少なくとも、ちょっとコンビニに来たから買って帰ろう、というものでもないし、ネットで注文したんでコンビニに行こう、という主旨のものでもないので、販売側に立ったとしても、購買(契約)の動機付けがハッキリしないなあという印象です。
それでも、ネット生保より面倒であっても、保障内容が充実していれば、それはそれで加入価値もあります。保障はどうなっているのか、見てみましょう。
セブンイレブンで販売されるがん保険の保障内容
保障プランは3種類あり、下記はスタンダードプランになります。
保障額 | 備考 | |
ガン入院給付金 | 5,000円/日 | 支払限度日数無制限 |
ガン手術給付金 | 10万円/回 | 支払回数無制限 |
ガン先進医療給付金 | 先進医療にかかわる技術料と約款所定の交通費・宿泊費 | 公的医療保険の対象外でも保障 |
ガン診断給付金 | 50万円(一時金として) | 再発含め何度でも保障(年1回まで) |
ガン治療通院給付金 | 5,000円/日 | |
抗ガン剤治療給付金 | 5万円/月 |
保障期間 | 終身(一生涯) |
支払い期間 | 終身(一生涯) |
申込可能年齢 | 20〜69歳 |
非常にオーソドックスと言いますか、良くも悪くもない、決め手に欠ける内容ではあります。
保険料(掛け金)は以下の通りです。
年齢 | 男性 | 女性 |
20歳 | 1,508円 | 1,669円 |
30歳 | 1,936円 | 2,100円 |
40歳 | 2,656円 | 2,740円 |
50歳 | 3,870円 | 3,372円 |
特段、安いというわけでもありません。ネット生保より少し高めで、大手保険会社よりは安め、といったところでしょうか。(保障の厚さで保険料は変わりますので、単純な価格比較は意味がないのですが)
どういった人が向いているか?
わざわざ、この保険を選ぶ理由が見つかりません。
これら販売を始めたセブンイレブンの本部の方やあいおい生命の方で、加入する方がいらっしゃたら、ぜひ加入理由を聞いてみたいです。
あえて、この保険に向いている人を挙げるのならば、
- セブンイレブンが好きな人
- 三井住友海上あんしん生命が好きな人
- 対面での加入は必要ないが、支払いはカードが嫌な人
といったところでしょうか。
保障内容は、アクサダイレクト生命の「終身ガン保険」とほぼ似た内容ですが、ダイレクトの方が安く、かつネットで手続きが完了しますので、そちらの方がオススメですし、ガンになった時の一時金受け取りを重視するのでしたら、同じくネットで完結するライフネットの方がオススメですし…。
あまりこの保険に加入するメリットは感じられないです。
まとめ
セブンイレブンで生命保険が販売されたということで、手続きや保障内容をまとめてみました。
FP目線でいうと、オススメする保険ではないのですが、コンビニで申し込める、といった目新しさやこれから新しい販売窓口を作っていく、という取り組みは素晴らしいと思います。
僕が保険業界に入った25年ほど前は、対面で、しかも保険会社の営業職員から加入するくらいしか選択肢がほぼありませんでした。
今は、ネットや保険ショップ・LINEなどいろんな加入方法が増えて、それに従って、新しい商品も出てきました。
こうした新しい取り組みから、新しい加入形態や販路が作られてくるのだと思いますし、今後どのような展開がなされていくのかは、注目していきたいと思います。